理事長雑感⑨  学ぶこと・経験を広げることは、人としての権利

 

先日、新聞報道において、文部科学省がこれまで学校基本調査報告書の大学進学率を算出する際、18歳人口を「3年前の中学校および義務教育学校(小中一貫校)の卒業者、中等教育学校(中高一貫校)前期課程修了者」とし、特別支援学校高等部の卒業者を除外していたことが明らかになりました。特別支援学校から大学に進学する者はいないだろうという安易な認識があったのか、あるいは大学進学率を少しでも高く見せる意図があったのかは不明ですが、同省では今後の算出方法や過去データの扱いについて検討を進める方針だといいます。

 さて、文科省の特別支援教育資料によれば、令和5年3月の知的障害特別支援学校高等部からの進学者(大学・短大・通信課程・専攻科等を含む)は76人(約0.4%)とされています。この多くは専攻科への進学と考えられます。知的障害特別支援学校で専攻科を設置している学校は全国でもごく少数で、およそ9校程度にとどまります。主に私立校であり、国公立では鳥取大学附属特別支援学校のみが専攻科を設けています。

 一方、知的障害のある若者が高等部卒業後に「ゆっくり、じっくり学びたい・学ばせたい」という願いを実現するため、福祉事業を活用して学びの場を提供する取り組みも各地で広がっています。残念ながら本県にはまだありませんが、自立訓練(生活訓練)2年と就労移行支援2年を組み合わせ、専門学校や大学の学生生活を疑似体験できるようなプログラムが構築されています。一般に「福祉事業型専攻科」あるいは「福祉型専攻科」と呼ばれるものです。

 私自身も、大学において「オープンカレッジ」と称し、知的障害のある方が同年代の大学生とともに学ぶ機会を提供するプログラムを開催したことがあります。知的障害があっても、大学キャンパスで学んだり、食堂で昼食をとったりすることは大きな体験となります。「学びたい」「同年代の友人と交流したい」といった思いは知的障害があっても当然のことであり、その願いがかなえられる場が今後さらに広がることを願っています。年齢を重ねても新しい知識への欲求は自然なものであり、学ぶことは人としての重要な権利でもあります。

 本育成会では、12月7日にボウリング大会を開催いたしました。ピンが倒れた瞬間に見せてくれた皆さんの喜びの笑顔や、きらきらと輝く瞳がとても印象的でした。仲間とともに身体を動かし、スポーツを楽しむ時間は、やはり大切な機会だと改めて感じています。今後も、参加される皆さんが新たな体験や学びを得られるよう、本育成会としてより一層充実した機会を提供してまいりたいと思います。

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